千葉の御宿という海岸のそばに
「月の沙漠記念館」 がある。
母が、亡くなる1ヶ月前に行った最後の旅。
ある日
母の足跡を辿るように
ひとり その海岸線を車で走った。
乳癌で、初診の時にはもう既に手をつけられないほど進行していた。末期だった。肝臓にも転移していた。医師の宣告通りに、余命1ヶ月で逝ってしまった母。
とってもいい死に方だったし、いい生き方だったと思う。
自分のお葬式の写真をアルバムから選ぶんだと、
親しい友人ひとりひとりにサヨナラもしておくんだ、と言って
入院していた山口県の病院から千葉へ。
途中、死を覚悟の飛行機の旅。母娘二人旅。
スゴイ人だと思った。
手紙で呼ばれた友達数人はその日
母の枕元まで行列作って 順番を待ってた。
通夜 葬儀は 母が生まれて育った町 木更津で。
御通夜の日はお棺のふたを開けて
会館のマイクを使い、「おかあちゃん!聞こえるかーい?」 って言いながら
母が一番好きだった「秋桜」を大~きな声で歌っていると
兄がいつのまにかギターを ( どこから?) 持ってきて、伴奏していた。
葬儀の日には 母の女学校時代の同級生達全員が『 月の沙漠 』を合唱。
会場に澄んだ声が響き渡った。
一緒に行った 月の沙漠記念館の夜、母が同級生みんなの前で
独唱した歌だと言っていた。
いい葬儀だった。心に残る葬儀だった。なんだか楽しかった。
御通夜やお葬式が楽しかったよ♪ だなんて、
あんまり人には言えない話だけれどネ。(笑)